Engineer's Digest - 忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/10/18 #346 - 今日の技術情報ダイジェスト

NISTのパスワードガイドライン刷新とセキュリティの常識

米国国立標準技術研究所(NIST)が、パスワード管理に関する新しいガイドライン「SP800-63B-4」を公開しました。これは、パスワードの強度や変更頻度に関する既存の推奨事項を見直し、より実用的で安全な対策を求めており、特に、パスワードの複雑さよりも、アカウントへの不正アクセスを防ぐための多要素認証(MFA)の重要性を強調しています。具体的には、パスワードの複雑さ(特殊文字など)を強制せず、代わりに最低15文字(MFA併用なら8文字)を推奨し、定期的なパスワード変更やセキュリティの質問は原則不要としています。また、パスワードマネージャーの利用や、パスワードが漏洩した場合の対応(ブロックリストなど)についても具体的に示しており、これにより、パスワード管理はより安全で、ユーザーフレンドリーなものになることが期待され、オンラインサービス提供者や開発者は、最新ガイドラインへの対応が求められます。

www.itmedia.co.jp

news.mynavi.jp

Claude AIの「スキル」機能でワークフローをカスタマイズ

Anthropicが「Claude Skills」をリリースし、AIチャットボットClaudeを特定のタスク実行能力を向上させる「スキル」によってカスタマイズ可能にしました。この機能により、AIエージェントに専門知識や組織の文脈などを事前に与え、指示、スクリプト、リソースを含むフォルダとして定義されたスキルを、タスクに関連するものだけをロードして効率的に専門知識を活用できるようになります。これにより、Excel操作や組織のブランドガイドライン遵守などの複雑な課題を分解して解決し、AIの弱点を克服することが可能になります。Claude SkillsはClaudeアプリ、API、Claude Codeで利用でき、今後はスキル作成や共有の簡素化も目指しています。

techfeed.io

gigazine.net

www.anthropic.com

Googleの画像生成AI「Nano Banana」活用術

Googleが発表した新しい画像生成AI「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」は、自然言語による指示だけで、商品の背景変更、色変更、そして見えない角度からの画像生成を可能にします。これにより、ECサイトの商品画像編集など、従来Photoshopで行っていた多くの作業が、実用レベルの精度で代替できる可能性があり、本記事では、より高品質な画像を生成するための具体的な指示方法も解説しています。

www.sbbit.jp

AI時代に賢く生きるための思考法

AIの進化は目覚ましいですが、AIに依存しすぎると自分で考える力が衰え、「無能」になってしまう危険性があります。AIに答えを丸投げし、理解せずにコピペするだけでは、AIに代替される可能性が高まります。AIは「知識」を与えてくれますが、「理解」を深めるのは自分自身です。「自分が何を知らないか」を認識し、AIを「知識を深める道具」として活用することが重要です。AIに説明を求め、そのズレを指摘してもらうことで、より深い理解へと繋がります。

note.com

Googleアカウントの安全な回復方法

Googleアカウントのユーザーは、ログインできなくなった際に信頼できる人に助けてもらえる新機能「アカウント回復支援」がリリースされました。この機能では、事前に友人や家族を「アカウント復元用の連絡先」として登録しておき、ログインできなくなった際に登録した連絡先に通知が届き、本人確認をサポートしてもらうことで、パスキー紛失や不正利用など、通常の再設定が失敗した場合でもアカウントを安全に回復することができます。この機能は個人用Googleアカウントで利用可能であり、事前の連絡先登録が重要です。

internet.watch.impress.co.jp

AWSからGoogle Cloudへのネットワーク移行ガイド

AWS経験者向けに、Google Cloudのネットワーク設計思想と主要サービスの違いを解説します。AWSが「リージョン中心」であるのに対し、Google Cloudは「グローバル中心」という思想の違いが重要であり、VPC、サブネット、ファイアウォール、ロードバランサなどのサービスがこの思想に基づき構成されています。Google Cloudでは、グローバルなIPアドレス空間や、タグ・サービスアカウントによる柔軟なファイアウォール設定が可能で、AWSの知識を活かしつつ、Google Cloudの「シンプルさ」と「グローバル活用」というメリットを理解することが習得の鍵となります。

tech.nri-net.com

C++で学ぶフォントレンダリングの深層

フォントがレンダリングされるまで を理解するために、TrueTypeフォントのパーサーとレンダラーをC++で自作した過程を詳述します。TrueTypeはAppleが開発したスケーラブルなフォントフォーマットであり、グリフをベクター画像で表現します。記事では、フォントファイル(.ttf)から文字コードに対応するグリフデータ(輪郭情報)を取得する「パーサー」の実装、そして取得したグリフの輪郭を直線や二次ベジエ曲線を用いて画面に描画する「レンダラー」の作成について解説します。さらに、グリフの塗りつぶしにはEven-odd法とNon-zero法の二種類を実装し、最終的に任意の文字列をPNG画像として出力可能にした手法についても触れています。

zenn.dev

Claude Codeに「記憶」を持たせるMCPサーバー開発

Claude Codeの操作履歴を管理し、AI自身の「記憶」を補うためのツールであるClaude-ops-mcpについて解説します。このツールは、Claude Codeが行った過去の操作、例えばファイル編集やコマンド実行の履歴を「記憶」し、後から確認・検索できるようにします。具体的には、ログファイルを解析することで、ファイル変更履歴、Bashコマンド履歴、コマンド実行結果、さらには操作の差分まで確認可能です。Claude Code本体にはない、AIの長期的な記憶を補助する目的で開発され、GitHubで公開されており、npmでのインストールと設定によって利用できます。

zenn.dev

Windows 11のAI機能「Copilot」と未来のPC体験

MicrosoftはWindows 11搭載PCにAI機能「Copilot」を搭載し、「Hey Copilot」と話しかけることで起動可能になります。このCopilotは、画面の内容を理解する「Copilot Vision」機能により、まるで人間のように画面を見ながらユーザーと対話して作業を進め、WordやExcel、ゲーム画面なども理解し、PC操作の自動化、質問への回答、文章作成などを支援します。特別なアプリ改修なしに多くのWindows 11 PCで利用でき、今後様々なアプリケーションとの連携強化が予定されています。

www.watch.impress.co.jp

www.itmedia.co.jp

生成AIが変革するスクラム開発の現場

生成AIの進化がスクラム開発に与える影響について、AI活用による作業効率向上を前提とした時間の使い方見直しやスプリント期間短縮の有効性、AIをインフラと捉えたドキュメント管理やチーム編成の工夫、スプリントゴールへの集中、合意形成への注力、レトロスペクティブでのAI活用法検討、そしてAI時代でも変わらないスクラムの原則(透明性、検査、適応)や学習への投資の重要性について詳述しています。

www.ryuzee.com

Windows 11バージョン25H2の機能と展開

Microsoftは、Windows 11の最新バージョン「25H2」の展開を希望する全デバイスに拡大しました。「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」設定を有効にすると、「25H2」のインストールオプションが表示されます。このオプションを無効にすることで、意図しない自動アップデートを防ぐことができます。なお、「23H2」のHome/Pro版は、集中管理デバイスを除き、「25H2」が自動的にダウンロードされます。再起動のタイミングはユーザーが指定または延期可能であり、アップデートを保留するための電源オプションも提供されています。

forest.watch.impress.co.jp

Windows 10サポート終了後のLinux移行とGUIアプリ活用

Windows 10サポート終了などを背景にLinuxの人気が高まる中、コマンドライン操作が不要で複雑なタスクを簡素化する無料Linuxアプリ8選や、古いPCにUbuntuをインストールして活用する方法、そしてWineなどの互換レイヤーを利用してWindowsソフトをUbuntuで動かす方法を紹介します。これにより、Linux初心者でも容易に導入でき、PCの延命策としても有効であることがわかります。

japan.zdnet.com

pc.watch.impress.co.jp

WindowsパッチによるWebサーバーIISの接続問題

Windowsパッチ「KB5066835」により、Windows 11 バージョン 24H2/25H2およびWindows Server 2025において、IIS Webサーバーが接続不能になる、またはエラーが発生する問題が報告されています。これは、更新プログラム適用後にサーバーアプリ「HTTP.sys」に不具合が生じたことが原因と考えられています。問題の解決策として、Windows Updateで更新プログラムを適用し再起動する方法や、Microsoftが提供する「KIR」システムによる自動またはグループポリシーでの解決策が示されています。

forest.watch.impress.co.jp

Windows 10サポート終了後の影響と対策

2025年10月14日をもってWindows 10のサポートが終了し、Windows Update画面にも「サービス終了を迎えました」と表示されるようになりました。最後のセキュリティ更新プログラムは適用可能でしたが、今後は有料の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の利用が推奨されています。これと同時にOffice 2016とOffice 2019のサポートも終了しており、これらの移行も推奨されています。なお、Windows 11についても、各バージョンが順次サポート終了を迎える予定です。

pc.watch.impress.co.jp

スクエニが探るゲームAIの可能性

スクウェア・エニックスは、AI技術の研究開発を積極的に進めており、ゲーム開発の効率化やプレイヤーに予測不能な体験を提供することを目指していますが、AIが「ゲームの面白さ」を判断するにはまだ課題があり、人間のクリエイターが主導することが重要視されています。今後の重要な課題として、AIの挙動を「制御可能」にすることが挙げられており、生成AIでゲームデータを作成し、AIが検索しやすいデータベースに蓄積する開発プロセスが構想されています。最終的には、NPCが自ら文化を創造するような、没入感のある世界をAIで実現することが目標です。

levtech.jp

HDD故障予測「バスタブ曲線」の最新変化

HDDの故障予測で用いられる「バスタブ曲線」に変化が見られ、性能向上による初期不良の減少と摩耗故障の遅延により、故障率のピークが全体的に遅延し曲線が平坦化していることがBackblaze社の分析で明らかになりました。

gigazine.net

高性能マウスに潜む盗聴リスク「Mic-E-Mouse」

高性能な光学式マウスが、机の微細な振動から音声を復元できる「Mic-E-Mouse」と呼ばれる脆弱性を持つことが明らかになりました。この攻撃は、マルウェアが一般ユーザー権限でマウスの生データを取得し、機械学習を用いることで約61%の精度で音声を認識するというものです。これは、高性能化するデバイスが予期せぬセキュリティリスクをもたらす可能性を示唆しており、不審なソフトウェアを避け、OSなどを最新の状態に保つといった基本的なセキュリティ対策の重要性を改めて示しています。

qiita.com

メルカリのSwitch 2不正出品問題と出品ルール変更

メルカリは、Nintendo Switch 2の不正出品問題に対応するため、出品禁止措置を強化し、サービス上で「安心・安全が損なわれる」と判断された個々の商品に対し、経営判断で出品を停止する例外措置を追加しました。これは、従来の「マーケットプレイスの基本原則」では対応が難しかった不正出品の急増やトラブル多発といった状況に対処するためで、具体的な対象商品は非公開ですが、「安心できる・使いやすいメルカリ」を目指すための前進と位置づけられています。

www.watch.impress.co.jp

ITエンジニアは「エンジニア」か「テクニシャン」か?

機械、電気、建築分野のエンジニアが共通の工学基礎で円滑にコミュニケーションを取れるのに対し、ITエンジニアは情報工学の基礎知識の不足から共通言語を持たず、技術者(エンジニア)というより技能者(テクニシャン)に近いという指摘があります。データ構造、アルゴリズム、オブジェクト指向、アジャイル開発といった根本的な知識の欠如が、プログラミングを単なるツールとして捉え、「どう使うか」という応用力や、現実世界をモデル化・抽象化する工学的な思考の重要性を軽視させる一因となっている可能性が示唆されています。この状況は、日本のIT業界における多重下請け構造や人月商売といったビジネスモデルとも関連しており、欧米で工学学位を持たない開発者を「デベロッパー」と呼ぶように、ITエンジニアも「エンジニア」を名乗るべきか再考の余地があるという意見も出ています。

posfie.com

ChatGPTへの指示の仕方と正答率の関係

ペンシルベニア州立大学の研究によると、ChatGPTは失礼な口調で質問されるほど正答率が上昇し、「非常に失礼」な口調では84.8%と、「非常に丁寧」な口調の80.8%を上回りました。これは、2024年の早稲田大学らの研究結果(丁寧なほど性能向上)とは逆の結果ですが、新しいモデルは直接的な表現を優先するよう訓練されている可能性が示唆されています。ただし、人間への攻撃的な行動を助長する懸念も指摘されています。

internet.watch.impress.co.jp

2040年の医療を支える電子カルテ再設計

2040年の医療は、人口減少と高齢化の進展により大きな変革期を迎えますが、多くの医療機関が経営難で変化への投資が困難な状況です。従来のオンプレミス型電子カルテは、高額な費用やセキュリティの課題を抱えています。株式会社ヘンリーは、クラウドネイティブな医療情報システムを提供することで、これらの課題解決を目指し、エンジニアリング組織の工夫を通じて2040年まで安心して医療を受けられる未来を創造します。

findy-code.io

村田製作所のノイキャンマイク革新技術

村田製作所が、騒がしい環境下でも話者の声だけを正確に拾い上げる「mask voice clip」を開発しました。この製品は、マスクに装着する小型クリップ型で、空気の振動ではなくマスク自体の物理的な振動を検知することで、工事現場のような高騒音環境での誤認識率を大幅に改善する実用レベルの精度を実現しています。基幹技術として、圧電フィルムセンサー「ピエゾーフ」が振動を電気信号に変換し、音声を抽出します。2028年頃の商品化を目指しており、医療現場や工場など、静かな環境を保つことが難しい様々な場所での活用が期待されています。

japan.cnet.com

松尾研が提唱するAIプロンプトの3大原則

生成AIをビジネスで活用する上で、AIの弱点を克服し、期待通りの出力を得るためには、社内知識の入力と的確な指示(プロンプト)が不可欠であり、プロンプト設計の基本原則として「指示を明確に」「参考情報を惜しまない」「複雑な指示は分解する」という3点が重要であることが、松尾研の知見に基づき解説されています。

www.sbbit.jp

iPhone/Macで動く画像生成AI「Draw Things」レビュー

iPhoneやMacで重量級画像生成AIをローカル実行できる無料アプリ「Draw Things」は、Qwen Imageのような大型モデルもインターネット接続なしで利用可能で、Apple製品の性能を活かした高機能アプリです。ControlNetなどの高度な機能も備え、AIによる画像生成の可能性を広げますが、バッテリー消費が激しいため充電しながらの使用が推奨されます。

gigazine.net

韓国政府オンラインストレージ火災の詳細

韓国の政府オンラインストレージで発生した火災に関する監視カメラ映像が公開され、その中でAIによる858TBの大規模データ処理がGoogle Drive上で「Voldemort」というコードネームのAIによって成功したことが報じられています。このAIの処理能力向上により、過去のデータも容易に分析可能となり、その技術は「ITmedia Apex Innovations 2025」で紹介される予定です。

www.itmedia.co.jp