Engineer's Digest - 忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/06/08 #214 - 今日の技術情報ダイジェスト

Vertex AI SearchによるRAG実装の効率化

Google CloudのVertex AI Searchは、構造化データと非構造化データの検索、要約、質問応答をフルマネージドで提供するサービスで、RAG(Retrieval Augmented Generation)構築におけるベクトルデータベース運用などの負担を軽減します。検索結果プレビュー機能や回答付き検索機能により開発効率が向上し、マルチテナント構成によるデータ隔離とセキュリティ確保、Cloud Storageなど複数ソースからのデータ取り込みにも対応しています。

zenn.dev

ユニットテスト入門

JJUG CCC 2025 Springで開催された米久保剛氏によるユニットテスト基礎講座の内容を紹介する記事です。AIによるテストコード生成の有用性と限界、ユニットテストの定義、目的、質の高いテストコードの書き方、テスト設計の重要性を解説しており、テスト対象の振る舞いの識別と分割、パッケージ構造、テストケースの階層化、パラメーター化テスト、テストダブル(スタブ、モック)の適切な使用方法、テストパターンの重要性についても説明しています。

www.docswell.com

危険なGoogle Chrome拡張機能に関する警告

イスラエルのセキュリティ企業LayerX Securityが、約3億人のChromeユーザーに影響する可能性のある、悪意のあるChrome拡張機能「スリーパー」の存在を警告しています。これらの拡張機能は、音量調整など正当な機能を装い、多くのユーザーにダウンロードされていますが、攻撃者の「号令」によって悪性コードが実行され、個人情報の盗難につながる危険性があります。Googleは深刻なセキュリティ脆弱性を修正する緊急アップデートを配信し、拡張機能の審査強化と危険な拡張機能の削除に取り組む必要があります。

forbesjapan.com

Claude Codeが話題になった理由

2025年6月、Anthropic社のClaude Codeがエンジニアの間で大きな話題となりました。その理由は、高性能な言語モデルClaude 4のリリース、月額定額制のClaude Maxプランの提供開始、VSCode等のIDEへの統合、そしてAIによる高度な自律駆動機能の実装など、複数の要因が重なったためです。これらの改善により、コーディング作業がAIとの共同作業となり、作業効率の大幅な向上が期待できます。以前はコマンドラインインターフェース(CLI)ツールのみの提供でしたが、IDEへの統合によって利用者が増加しました。さらに、競合他社のAIモデルと比較して、コーディング能力において優位性があると評価されています。

zenn.dev

AIとソフトウェア開発者の未来

AIによるコーディング技術の進化により、「チャット指向プログラミング(CHOP)」といった新しい開発手法が登場し、ソフトウェア開発の様相が大きく変化しています。ティム・オライリーは、AIがプログラマーの職を奪うのではなく、むしろ新たな仕事の創出につながると述べており、AIアシスタントを用いた「バイブコーディング」といった新たな開発スタイルも注目されています。6月11日開催のAPPS JAPANでは、AI時代におけるエンジニア育成について講演が行われました。

ascii.jp

サイバーエージェントにおけるCursor活用戦略

サイバーエージェントにおけるAIコーディングツール「Cursor」の導入戦略と、大規模組織特有の導入課題克服のためのバイラル戦略、複数企業での導入事例と生産性向上効果、開発手法「Vibe Coding」や標準プロトコル「MCP」の提唱、そしてMCP普及による開発効率向上への展望について解説されています。

speakerdeck.com

Go言語による高速プロトタイピング

Go言語を用いた高速プロトタイピング手法として、TypeSpecによるAPI定義、ogenによるGoサーバーコード自動生成、sqlcによる型安全なデータベース操作、orvalによるフロントエンドAPIクライアント生成、MSWによるモックAPI作成、Docker Composeとairによる開発環境構築、Taskfileによるタスク管理を組み合わせたワークフローが紹介されています。これにより開発速度の向上とチーム内での円滑な情報共有を実現します。

blog.64p.org

ワコムCintiqシリーズ新モデル発表

ワコムが液晶タブレット「Cintiq」シリーズの新モデル3機種を発表しました。16型「Cintiq 16」、23.8型「Cintiq 24」、タッチ対応の「Cintiq 24 touch」で、いずれも狭額縁デザイン、高解像度、USB Type-C接続に対応し、高精度ペン「Wacom Pro Pen 3」が付属します。さらに、消費電力削減と静音化を実現したファンレス設計も採用されています。Cintiq 16は11万8800円からで、6月26日発売予定です。

pc.watch.impress.co.jp

危険なGoogle Chrome拡張機能に関する警告(Yahoo!ニュース)

イスラエルのセキュリティ企業LayerX Securityが、Chromeウェブストアで配布され、100万件以上ダウンロードされた悪意のあるChrome拡張機能4つを発見しました。これらの拡張機能は「音量調整」機能を装っており、攻撃者の指示を待つスリーパー状態にあります。Google Chromeは約30億人のユーザーに緊急アップデートを配信しており、該当する拡張機能をインストールしているユーザーは、速やかに削除する必要があります。

news.yahoo.co.jp

ローカルAIの台頭とAIシステム開発

AIの民主化が進み、高性能なMac Studioなどのマシンを用いたローカルAIの利用が可能になりつつある現状を解説しています。クラウドサービスに頼らないローカルAIは、安定性、コスト、性能において優位性を持ち、今後はAIを部品として活用したシステム開発が重要になるとしています。AIシステム開発に興味のあるエンジニアは、ハッカソンへの参加も推奨されています。

wirelesswire.jp

React NativeとNext.jsを用いたクロスプラットフォーム開発

React NativeとNext.jsを用いて、iOS/Android/Webに対応したショートドラマサービス「テラードラマ」をほぼ1人で爆速開発した事例を紹介しています。クロスプラットフォーム開発の容易さからReact Nativeを採用し、Web側はSEO対策のためNext.jsによるサーバーサイドレンダリングを実施しています。UIコンポーネントにはTamagui、効率的な開発にはExpo Modules APIを活用しており、今後の課題としてWebとアプリ間の機能差分への対応と実装方法の改善が挙げられています。

zenn.dev

有名エンジニアによるAI利用状況と課金事情

エンジニアtypeの記事では、中島聡氏、松本勇気氏、牛尾剛氏、ちょくだい氏、ナル先生といった有名エンジニア5名が、自身のAI利用状況について詳細を公開しています。月額費用は3,000円から20万5,000円と幅広く、平均は約6万4,000円に上り、ChatGPT、Claude、Perplexity Proなどの汎用AIに加え、開発支援AIや生成AIなども活用していることが明らかになっています。AIの利用時間は週20時間からほぼ全時間と様々で、生産性向上や将来への備え、AIネイティブな基盤構築などを目的として投資を行っている一方、AIの進化の速さを考慮し、過度な投資は不要とする冷静な意見も紹介されています。

type.jp

生成AI市場における独禁法問題

公正取引委員会が生成AI市場に関する中間報告書を発表し、巨大IT企業による生成AIの抱き合わせ販売や競合他社への利用制限が独禁法に抵触する可能性を指摘しました。具体的な違反事例は確認されていませんが、GoogleやAppleといった企業によるOSへのAI統合などが問題視されており、市場閉鎖効果への懸念が示されています。今後、調査を継続し、2025年度末に最終報告をまとめる予定です。

www.nikkei.com

Java 30周年記念記事

Javaが1995年の発表から30周年を迎えました。当初はGreen Projectとして情報家電向けに開発され、Webブラウザとの連携により普及しましたが、その後Sun Microsystemsの業績悪化や開発方向性の議論などを経て停滞期を経験しました。しかし、Java 8のLambda Projectなど、言語機能の強化やリリースモデルの変更により再興期を迎え、現在もProject Amber、Project Valhallaといった取り組みで宣言的プログラミングやパフォーマンス向上を目指しています。Javaの30年間の歴史と、今後の展望について解説しています。

speakerdeck.com

fzfを用いたgit worktree間高速移動

AIコーディング支援によって複数のgit worktreeを扱う機会が増加したことを受け、zsh環境向けにfzfを用いたgit worktree間高速移動ツールが開発されました。このツールは、Gitリポジトリ内のworktreeを一覧表示し、選択したworktreeのディレクトリへ移動する機能を提供することで、git worktree間の移動を効率化します。 これにより、AIを活用したシェルスクリプト開発における効率性向上が期待できます。

sushichan044.hateblo.jp

アジャイル開発における失敗事例

アジャイル開発における失敗事例が多数報告されており、多くの事例が計画不足や責任の所在不明瞭、ドキュメント不足といった問題を抱え、アジャイルの名を借りたウォーターフォール開発になっていると指摘されています。具体的には、プロダクトオーナーの権限不足や、属人化によるリスク、そして「検討なし設計なし。常にコードから始めるボトムアップ開発」「物凄く急ぐだけのウォーターフォール」といった、本来のアジャイル開発とは異なる運用方法が「なんちゃってアジャイル」として批判されています。

togetter.com

経験主義的ソフトウェア設計

hitode909氏の記事「Tidy First? ―個人で実践する経験主義的ソフトウェア設計」では、ソフトウェア開発におけるリファクタリングの本来の意味と現状の乱用について解説し、小さな改善を「整頓」と呼び、コードの「お楽しみリスト」化を提案しています。Pull Request不要な小さな変更は積極的に行うことを推奨しており、経済的な観点(キャッシュフロー、オプション)からいつ「整頓」するかを考察しています。これは3部作の第1部で、個人のプログラミングに焦点を当てています。

blog.sushi.money

イミュータブルデータモデルによるシステム開発の単純化

生成AIの発展にも関わらず、システム開発におけるデータモデリングの重要性は依然として高く、イミュータブルデータモデルを用いることで複雑なシステムを単純化し、「理解可能な」Complicatedな状態に導く方法が紹介されています。イベントエンティティとリソースエンティティの適切な区別による、クエリやテーブル数の増加問題への対策も解説されています。

scrapbox.io

SQL直接利用によるORMの限界突破

ORMを用いたSELECT処理の煩雑さを解消するため、SQL直接記述の利点と課題を改めて検証しています。SQLインジェクション対策、汎用性、静的解析の難しさ、エンティティマッピング、保守性の問題点を指摘しつつ、SQL解析・加工技術を用いた解決策を提案。具体的には、パラメータクエリ、複雑な検索条件、スキーマ適合検査、JSON返却クエリの実現可能性を解説し、長文SQLの保守性の課題は解決困難であるものの、SQL活用による開発生産性向上を主張しています。

zenn.dev

生成AIの業務利用における課題と効果

生成AIの業務利用に関する記事で、AI導入による業務効率化の効果は期待されるものの、導入企業の5割しか効果を実感しておらず、平均効率向上率は24.8%にとどまっている現状が報告されています。効果を実感できない企業も多く、適切な活用方法や人材育成が課題として挙げられています。ChatGPTなどの生成AIツール活用事例も紹介されており、AI導入の現状と課題を詳細に分析しています。

www.itmedia.co.jp

Claude CodeとCLAUDE.mdの設定

AIコーディングツール「Claude Code」と設定ファイル「CLAUDE.md」を活用した効率的な開発手法が紹介されています。CLAUDE.mdにプロジェクト情報やコーディング規約を記述することで、AIとの連携を効率化し、探索→計画→実装→コミットというワークフローを実現、状況に応じてTDDも活用しています。CleanShot X等のツールと連携することで視覚的な情報も活用し、曖昧な指示でも文脈を理解するAIと協業することで、開発の質と速度が向上したと結論づけています。

syu-m-5151.hatenablog.com

AIアシスタントを活用した効果的なプロンプトエンジニアリング

Googleエンジニアによる、AIアシスタントを活用した効率的なコーディング手法に関する記事で、プロンプトエンジニアリングの基礎を解説しています。AIへの指示(プロンプト)の7原則(コンテキスト、具体的な目標、タスク分割など)を示し、バグ修正、コード最適化、新機能実装における効果的なプロンプト作成例、よくある失敗例と改善策、そしてプロンプトを洗練させる重要性を説明しています。

gigazine.net

GeminiとStitchを使ったUI生成

GoogleのUI生成ツール「Stitch」とGeminiを用いて、UIデザイン初心者によるイケてるUI生成への挑戦を記した記事です。テキストや画像からUIデザインとコードを生成できるStitchの利便性を活かし、枕販売サイトを例に、AIと協働で要件定義を行い、デザインの統一感や視覚的ヒエラルキーを検証しています。AIとの議論を通して「イケてるUI」の定義を明確化し、効果的なUI生成に繋がるプロセスを詳細に解説しています。

qiita.com

NeovimとClaude Codeを用いた開発環境構築

Neovimをベースとした独自の開発環境(PDE)を構築している著者が、コード補完ツールをCursor + Roo-CodeからClaude Codeに移行した経緯と、その理由、そしてClaude Codeを利用したNeovim環境構築について解説しています。Claude Codeはターミナル上で動作し、トークン数無制限で高性能である点が特徴で、avante.nvim、mcphub.nvim、claude-code.nvimといったNeovimプラグインを活用して実現されています。PDEは開発者の思考と完全に一体化した環境を目指しているとのことです。

syu-m-5151.hatenablog.com

WindowsとLinuxへのポスト量子暗号技術導入

MicrosoftはWindowsとLinuxに、量子コンピュータでも解読が困難なポスト量子暗号(PQC)技術としてNIST標準のML-KEMとML-DSAの2つのアルゴリズムを導入しました。ML-KEMは鍵の安全性を高め、ML-DSAはデジタル署名に使用されます。これにより、量子コンピュータによる攻撃「HNDL」への対策も強化され、将来的には別のPQCアルゴリズム「SLH-DSA」の導入も予定されています。

gigazine.net

AIとSREの未来展望

アマゾンウェブサービスの山口氏による講演内容で、AIとSRE(サイト信頼性エンジニアリング)の未来、特にAIツールを活用したSRE業務の効率化について解説しています。具体的には、コード生成やデバッグ支援といったAIツールの活用事例、AIによる自動化で「トイル」(無駄な反復作業)削減を目指す取り組み、AI導入によるSREの役割変化や新たな役割創出の可能性、そしてコミュニティによる技術共有の重要性などが論じられています。

speakerdeck.com

claude-bridgeによるClaude Codeの拡張

オープンソースツール「claude-bridge」がClaude Codeの制限を克服し、OpenAI、Google Gemini、ローカルLLMといった複数のLLMをClaude Codeから利用可能にしました。ローカルLLM連携により、自宅にGPUがあれば無料でエージェント機能を利用でき、複数モデルの比較やプライバシー重視の開発に役立ちます。インストールも容易で、開発効率の大幅な向上が期待できます。

note.com

Microsoft Teamsの新機能:画面共有中のチャット

Microsoft Teamsデスクトップ版(Windows/Mac)に、会議中に画面共有しながらチャットを確認できる新機能が追加予定です。共有画面上に小さなチャットウィンドウが表示され、参加者には表示されないため、プライバシーも確保されます。わざわざ会議ウィンドウを開く必要がなく、効率的なコミュニケーションが可能になります。まずはテスト環境で公開され、その後一般公開される予定です。

forest.watch.impress.co.jp

Javaにおける代数的データ型

Javaを用いて代数的データ型(直積型と直和型)を解説した記事です。純粋関数とそのメリット・デメリット、RecordやBeanによる直積型の実装、enumやsealed classによる直和型の実装、そしてsealed classやrecordを用いた具体的な実装例と、enumや継承との比較を示しています。代数的データ型を利用することで、コードの可読性と信頼性の向上を目指します。

speakerdeck.com

Cursor Meetup Tokyo開催報告

2025年6月6日、AIコードエージェントユーザー会(AIAU)主催でCursor Meetup Tokyoが開催され、約6000人が参加する盛況となりました。AI搭載IDE「Cursor」をテーマに、メルカリの協賛・会場提供のもと、Cursorの活用事例、導入における課題、セキュリティ対策などがLT形式で発表されました。今後の関西での開催やAIAUへの参加呼びかけも行われています。

zenn.dev