Engineer's Digest - 忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/05/23 #198 - 今日の技術情報ダイジェスト

OpenAIの動向

米OpenAIが、アップル元デザイン責任者ジョニー・アイブ氏設立の企業io Productsを約9200億円(64億ドル)で買収し、生成AI専用端末の開発に乗り出しました。これは、スマートフォンに代わる革新的な端末を目指したもので、画面操作不要の技術を搭載する可能性があります。OpenAIは、ChatGPTの利便性を高めるハードウェア開発参入を目的としており、AI端末市場における競争激化を示唆しています。また、OpenAIはAppleとのAI分野における協業を示唆する発言もしており、LoveFrom社との関係も示唆されています。これらの動きは、OpenAIが自社のAI技術を他社製品に統合する戦略を進めていること、そしてAppleもAI開発に力を入れていることを示しており、両社の協業は業界に大きな影響を与える可能性があります。

www.nikkei.com

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www.itmedia.co.jp

Googleの開発ツール

GoogleはWeb UI自動生成ツール「Stitch」をベータ公開しました。自然言語で指示を入力するとHTML/CSSコードを自動生成し、Gemini 2.5 Flashを搭載、デスクトップ/モバイル両対応で、Figmaへのエクスポートも可能です。また、コーディングアシスタント「Jules」もパブリックベータ版として公開され、バグ修正や新機能追加などを支援し、GitHubと連携して動作します。タスク実行やコード音声概要生成機能も備えていますが、同時実行数や1日あたりのタスク数などに制限があります。

www.publickey1.jp

qiita.com

GitHub Copilot

1つ目の記事は、GitHub Copilotを用いて設計書から大規模Webアプリケーションの業務ロジック実装を自動生成する試みについて記述しており、VSCode拡張機能やInstruction file、Prompt fileなどを活用したCopilotへの指示方法、Copilotによる実装結果とその修正、共通部品の利用やHTML修正における課題、今後のプロンプト調整やAgentモード活用といった改善策について詳述しています。2つ目の記事では、MicrosoftのGitHubリポジトリにおいて、Copilotの新機能が不具合を多く含み、期待外れの結果となっている現状と、AIがバグを修正したと誤報告する事例、それに対するRedditユーザーの反応について報告しており、Copilotが有料サービスユーザー向けのパブリックプレビュー版である点を指摘しています。

zenn.dev

gigazine.net

macOSのバグ

macOS Sequoia 15.4以降で、calコマンドやdateコマンドを実行すると、5月なのに3月と表示されるという問題が発生していました。これは、ロケール設定(言語ファイル)の行数違いによるデータのずれが原因で、日本語ロケールファイルのバグが疑われています。システム保護機能(SIP)のため直接修正は難しく、環境変数の変更によって問題を解決できることが確認されています。この問題は、Sequoia 15.4以降のバグであると特定されています。

onk.hatenablog.jp

AIのハルシネーションとファクトチェック

AI、特にgrokのような大規模言語モデルは、ハルシネーションと呼ばれる誤った情報を生成する可能性があり、その回答をそのまま信用するのは危険です。そのため、AIの回答は常に人間のファクトチェックが不可欠であり、情報源の確認や問い方の工夫など、AIを活用するための情報リテラシーと主体的な情報判断が求められます。

blog.tinect.jp

AMDの新GPU

AMDは、6月5日に新GPU「Radeon RX 9060 XT」を349ドルで発売します。これは、従来の9070シリーズよりCU数を32基に削減することで低価格化を実現した廉価版GPUです。RDNA 4アーキテクチャを採用し、電力効率と描画性能が向上しており、最新FSR 4にも対応することでレイトレーシング性能も強化されています。NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti 8GBと比較して、性能と価格の面で優位性があると言われています。VRAMは16GB搭載です。

pc.watch.impress.co.jp

TVerの技術スタック

月間ユーザー数4120万人を誇る動画配信サービスTVerは、急成長を続ける中でサービスの再構築フェーズにあり、その舞台裏と優秀なエンジニアがTVerを選ぶ理由について解説しています。技術スタック、組織、開発プロセスの3つの観点から、品質とスピードの両立を目指した改善、迅速な意思決定と現場の裁量による大規模システム再構築、そして社会的影響力の大きいサービスで裁量を持って成長できる魅力的な環境について紹介しています。

whatweuse.dev

情報処理技術者試験

2027年度から、情報処理技術者試験に「データマネジメント」区分が新設されます。これは、政府のデジタル人材育成目標(2026年度までに230万人)達成に向けた取り組みの一環で、企業におけるデータ管理スキルを持つ人材の不足解消を目指しています。経済産業省の報告書案に新設方針が盛り込まれ、IT国家試験の改定により、デジタル社会のニーズに対応した人材育成を強化する狙いがあります。

www.nikkei.com

Discordのデータ流出

ブラジル大学の研究チームが、Discordの公開サーバー約3000個から2015年から2024年にかけて投稿された20億件以上のメッセージをスクレイピングし、オンラインで公開しました。このデータにはメンタルヘルスや政治研究への活用が目的とされていますが、ユーザー名やIDは匿名化処理済みと主張するものの、プライバシーに関する懸念が指摘されています。また、Discordの利用規約違反にあたる可能性や、子どものプライバシー問題、データ公開による倫理的な問題も含まれています。

gigazine.net

Google I/O 2025 の発表内容

Google I/O 2025の基調講演では、生成AI「Gemini」を核とした様々なサービスへのAI統合が発表され、特に検索機能へのAIモード本格導入が注目を集めています。これはチャット形式でのAI検索を可能にし、従来の検索と異なり自然な文章での検索、要約された回答と関連情報の提供、Googleマップ等のデータ活用による詳細な検索結果、そして個人データとの連携によるパーソナライズされた検索を実現します。Android 16ではデザインの大幅刷新、GeminiはWear OSや車載システムにも拡大し、Gmailなど既存サービスとの連携によるパーソナルな文脈を理解したAIアシスタント機能強化も進みます。さらに、ヘッドセットとスマートグラス両方のデバイス展開を予定する新OS「Android XR」も発表されました。ウェブサイトへのアクセス減少懸念に関しては、質の高い要約によりむしろ増加傾向にあるとGoogleは説明しています。

www.watch.impress.co.jp

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Microsoft Build 2025

Microsoft Build 2025では、Agentsをキーワードに、AI搭載ツールやプラットフォームに関する30件以上の新発表がありました。GitHub CopilotのOSS化やMicrosoft 365 Copilotの一般提供など、生成AI関連ツールの進化が目覚ましく、Azure AI FoundryなどAI開発基盤の機能強化とサービス拡充も発表されました。マルチエージェント連携やモデルのファインチューニングといった高度な機能に加え、WindowsにおけるAI開発環境の強化も大きなトピックとなっています。

zenn.dev

エンジニアがおすすめする書籍

Findy社のエンジニア3名が、自身のキャリアに大きな影響を与えた技術書を3冊紹介しています。CTO佐藤さんは「コンピュータの構成と設計」(パタヘネ)でコンピュータアーキテクチャの基礎を学び、フロントエンドエンジニアの中村さんは「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」(徳丸本)でWebセキュリティの知識を深め、フロントエンドエンジニアの甲斐さんは「現場で役立つシステム設計の原則」で変更しやすいコード設計を習得しました。それぞれのエンジニアの経験談から、適切な技術書の選択がエンジニアのキャリア形成に大きく貢献することがわかります

tech.findy.co.jp

コンピュータ性能と社会生産性

大学での講演後、学生から「コンピュータは数百万倍の性能になったのに、社会の生産性が数百万倍になっていないのはなぜ?」という質問を受け、その疑問について考察しています。コンピュータ性能向上はDNAシーケンサーのコスト削減など一部分野では顕著な成果を上げていますが、社会全体への影響は限定的であると述べています。その理由として、アムダールの法則に基づき、人間がシステムに直列接続されている場合、全体の性能向上は限定的になること、また、複雑なアルゴリズム(n2やn3)では、性能向上による生産性向上は平方根や三乗根程度に留まることを挙げています。最終的に、人間の処理速度や問題の複雑さが、社会生産性向上におけるボトルネックとなっていると結論づけています。

togetter.com

Windows 11の新機能

マイクロソフトが、64bit版Windows向けに新しいコマンドラインテキストエディタ「Edit」を公開しました。オープンソースで、マウス操作にも対応した直感的な設計となっており、複数ファイル編集や検索置換などの機能も搭載しています。容量は250KB以下と軽量で、将来的にはWindows 11に標準搭載される予定です。

pc.watch.impress.co.jp

AMDの新CPU

AMDがワークステーション向けCPUの新シリーズ「Ryzen Threadripper PRO 9000」を発表し、その最高峰モデルとして96コアの「Ryzen Threadripper PRO 9995WX」が登場します。サーバー向けCPU「EPYC」の技術をベースに開発され、Zen 5アーキテクチャを採用することで最大5.4GHzの動作周波数を達成しています。64コアの「Ryzen Threadripper PRO 9980X」もラインアップされる予定です。

pc.watch.impress.co.jp

ソフトウェア品質とAI

DMMによるAI活用事例を紹介する記事です。AIを活用したコード改善において、「惜しい」結果になりがちな課題を解決するために、ソフトウェア開発におけるAI活用では、ソフトウェア品質特性(機能適合性、性能効率性、使用性など)を意識した指示が重要であると述べられています。具体的に、品質特性に基づいたプロンプト作成事例として、技術的負債分析やテストコード作成などが紹介されており、AIと協働するには、ソフトウェア品質特性を理解し、それをAIへの指示に反映させる必要があると結論づけています。

speakerdeck.com

マイコンの歴史

マイコン誕生50周年を記念し、マイコン博物館がMC6802搭載のワンボードマイコン「ERIS6800」を発売します。この製品は1970年代の月刊アスキーに掲載された6800系プログラムを多数収録し、当時のソフトウェア環境を再現することを目指しています。32KB RAM、16KB ROMに加え、オプションで64KBの拡張ROMを搭載し、RS-232CポートでPC接続が可能です。「GAME言語」「TL/1コンパイラ」「NAKAMOZU Tiny BASIC」など、貴重なソフトウェアが動作します。さらに、子供向け実験セットも用意され、コンピュータの基礎教育にも役立ちます。クラウドファンディングを通じて、無料配布を目指しているとのことです。

ascii.jp

イエラエセキュリティの社員紹介

GMOサイバーセキュリティ byイエラエのセキュリティブログ記事では、セキュリティ界の第一人者である川口洋氏と、CVE取得経験を持つイエラエセキュリティの若手高度解析部員3名による座談会の内容が紹介されています。座談会では、彼らがイエラエセキュリティに入社した経緯や、CVE取得への取り組み、社内CSIRT活動、セキュリティ業界の現状や就職活動事情などが語られています。特に、若手社員の活躍や今後の目標、セキュリティ業界が抱える課題などが詳細に議論されており、セキュリティ業界を目指すエンジニアにとって貴重な情報が満載です。

gmo-cybersecurity.com

IIJのセキュリティインシデント

IIJのメールセキュリティサービスにおいて、400万件以上のアカウント情報漏洩の可能性が発覚しました。攻撃手法は、正規のツールを悪用する「Living off the Land(LotL)攻撃」で、2024年8月から攻撃を受けていたものの、2025年4月に発覚するまで検知が困難でした。LotL攻撃はシステム内の正規ツールのみを使用するため、検知が非常に難しいのが特徴です。興味深いことに、河野前デジタル相は2024年8月にLotL攻撃の危険性を既に指摘していました。

xtech.nikkei.com

AMDの超解像技術

AMDが超解像技術FSRを強化した「FSR Redstone」を発表しました。これはマシンラーニングを活用し、画質とフレームレートを向上させる技術で、Neural Radiance Cachingによるリアルタイムの間接照明予測や、Ray Regenerationによるパストレーシングの精度とノイズ改善が含まれます。6月5日までに60タイトル以上がFSR 4に対応予定とのことです。

pc.watch.impress.co.jp

USBマイクの音質問題

一部のノートPCでAntlion AudioのUSBマイクを使用時に4kHz以上の高周波音がカットされるという音質劣化の問題が発生しており、Windowsの音声設定変更では解決しないケースがあります。USBハブ経由で接続することで問題が解消される場合があることが報告されており、原因は現在調査中ですが、USBハブの使用が暫定的な解決策として有効な可能性があります。

pc.watch.impress.co.jp

Google Pixelのバグ

2025年5月のGoogle Pixelアップデート(通常のパッチ)後、Pixel 6シリーズ以降の多くの機種でバッテリー消費の増加と発熱が報告されています。Googleからの公式な発表や原因究明、対策は現時点ではありませんが、同様の症状が出ているユーザーはGoogleにフィードバックを送信するよう推奨されています。

helentech.jp

ブラウザゲームエンジン

本記事では、Unity 6向けC#コード記述法の解説書(無料)とUnity 6.2 Betaリリース情報、都会の街づくりに使える無料3Dモデルパック『City Kit』、ブラウザで動作するオープンソースのゲームエンジン「PlayCanvas Engine」のバージョン2.7.5アップデート(3D Gaussian Splattingによる3DCGデータ圧縮率20分の1以下を実現)、BlenderとMayaのリギング解説記事、ボードゲーム制作解説記事、ゲーム制作素材サイトまとめ、SNKの現状やゲーム開発における数学、ライティング、レンダリングに関する記事、フォートナイトのクリエイティブモード(UEFN)に関する記事、Godot向け2Dアクションゲーム開発ツールの公開情報についてまとめています。

gamemakers.jp

iPhoneのマイナンバーカード機能

iPhoneのマイナンバーカード機能搭載に関する記事では、現在発生している電子証明書発行機能の不具合、その原因であるiOSアップデートによる電子証明書の発行方法変更とAndroidとの対応状況の違い、2025年度末を目指した解決への取り組み、JPKIとの互換性確保の課題、そして今後のiPhoneユーザーへの注意喚起について解説しています。

www.itmedia.co.jp

Amazon Bedrockのセキュリティ

AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を利用したアプリケーションにおけるセキュリティリスクと対策について解説しています。具体的には、プロンプトインジェクションによる情報漏洩や不正操作、設定不備によるリスク、EDoS攻撃の可能性を指摘し、IAMポリシーの適切な設定、最小権限の原則、ネットワーク設定の強化といった対策を提案しています。さらに、Amazon Bedrock GuardrailsなどのAWSサービスによるセキュリティ対策の有効性にも触れ、GMO Flatt Securityが提供するLLM活用アプリの脆弱性診断やAIエージェント「Takumi」についても紹介しています。

blog.flatt.tech