Engineer's Digest - 忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/05/01 #176 - 今日の技術情報ダイジェスト

AGIの未来に関するAI研究者の見解

AAAI 2025 Presidential Panel Reportより、AI研究者の76%が、現在のTransformerベースのAIではAGIは実現せず、新たなアーキテクチャや学習方法が必要だと考えていることが報告されています。また、LLMの事実性・信頼性問題の解決には新しいモデルや外部ツールが必要で、すぐに解決できるわけではないという意見が60%から得られています。さらに、社会のAI認識と研究開発の現状に乖離があり、研究の妨げになっているという意見も79%にのぼっています。研究者たちは、AIに関するファクトチェックや公開討論会、啓発活動などを提案しており、AGI研究の制限には反対しつつも、リスク管理を重視すべきという意見が多数を占めています。

tjo.hatenablog.com

中国のLLM Qwen3シリーズの高性能とオープンソース化

アリババが、大規模言語モデル「Qwen 3」シリーズを発表し、4B~235Bパラメータの様々なサイズモデルを提供しています。中でも、最大モデルはOpenAIのo1やGoogleのGemini 2.5 Proに匹敵する性能を持ち、最小の4BパラメータモデルでもGPT-4と同等の能力を持つとされています。MoE(Mixture-of-Experts)技術を採用しており、推論能力や思考能力においてOpenAIやGoogleのモデルと競合する性能を示しています。Hugging Faceなどを通じて公開され、利用可能になります。

www.itmedia.co.jp

BitLocker回復キーに関するトラブルシューティング

WindowsのBitLockerによるファイルシステム暗号化で発生する、突然の「BitLocker回復キー」要求と、そのトラブル回避策を解説しています。不正なログイン試行やハードウェア変更で回復キーが求められる場合があり、Homeエディションでも誤って有効化される可能性があるため、BitLockerの無効化、回復キーのバックアップ、BIOS/UEFI設定やグループポリシー変更による検知範囲調整などの対策が重要です。ただし、グループポリシー変更はPro版限定で、セキュリティリスクも伴うため注意が必要です。PCの設定を確認し、BitLockerの有効/無効状態や回復キーのバックアップ状況などを確認することを推奨しています。

pc.watch.impress.co.jp

ローカル環境でのLLM利用可能性:Qwen3の評価

アリババが開発した大規模言語モデルQwen3を様々なサイズで評価した記事です。14Bパラメータのモデルは日常的なタスクにおいてGPT-4に匹敵する性能を示し、4Bパラメータのモデルでも簡単なタスクであれば代替可能であることが示されています。特に1.7Bパラメータのモデルは、ローカル環境でのLLM利用を大きく変える可能性を秘めており、30BおよびA3BパラメータのモデルはMacのMLXで高速に動作しますが、32GB以上のメモリが必要となります。また、コーディングやツール利用においては、モデルサイズが大きいほど信頼性が高いという結果が得られています。

nowokay.hatenablog.com

NotebookLMによる日本語対応ポッドキャスト自動生成システム

GoogleのNotebookLMが日本語に対応し、YouTube動画やPDF、テキストデータなどを基に、男女二人の会話形式によるポッドキャストの音声解説を自動生成できるようになりました。約5分と短時間で生成され、チャット形式での質問にも対応、サムネイル作成も容易です。さらに、英語音声の削除と再生成により、日本語版への切り替えも可能です。

www.techno-edge.net

プログラマのモチベーションと仕事観

プログラマである著者が、高度な技術に頼りつつも燃え尽き寸前だった経験と、PMとしてチームと協力し開発遅延を改善した経験、そして高度な技術と「共犯関係」によって仕事が成り立っているという気づきを綴ったエッセイです。モチベーションに頼らない働き方への疑問や、持続可能な仕事への模索が描かれています。

www.megamouth.info

若手エンジニア向け技術書以外の読書推薦

この記事では、新卒エンジニアを含む若手エンジニアが社会人生活で役立つ技術書以外の10冊の書籍を紹介しています。優先順位付けによる効率的な仕事術や効果的な会議の進め方といった実践的なスキルから、本の読み方や学び方のコツ、モチベーション維持、アドラー心理学に基づいた人間関係構築、顧客視点重視のマーケティング戦略まで、幅広い内容を網羅しています。

zenn.dev

ChatGPTへの買い物機能追加と競合への対抗策

OpenAIは、ChatGPTに商品比較・購入機能を追加しました。家電など一部カテゴリーから開始し、順次拡大予定です。5億人のアクティブユーザーに加え、非ログインユーザーも利用可能となり、Googleなどの競合他社への対抗策、ユーザー利用時間増加が狙いです。なお、アフィリエイト収入は得ず、検索機能強化の一環として位置付けられています。

www.bloomberg.co.jp

保険見直し本舗へのサイバー攻撃と情報漏洩

保険見直し本舗を運営する会社がランサムウェア攻撃を受け、顧客情報約510万件の情報漏洩の可能性が判明しました。漏洩した可能性のある情報には、氏名、住所、電話番号などが含まれますが、マイナンバーやクレジットカード情報は含まれていません。現在、会社は謝罪し、再発防止策に努めていると発表しています。

www3.nhk.or.jp

Cursorを用いたAI駆動開発体験記

フューチャー技術ブログの記事「CursorによるAI駆動開発入門」では、春の入門祭り2025の一環として、生成AIを用いたゲーム開発の体験が紹介されています。具体的には、AI駆動開発入門書を参考にTypeScript、Svelte、Bunを用いてタイピングゲームを開発し、要件定義にはChatGPTを利用、コード生成ツールとしてCursorを使用しています。記事では、Cursorの初期設定やディレクトリ構成に苦労した点、一方でCursorのモデル指定やタブ補完機能による開発効率化についても詳細に記述されています。

future-architect.github.io

GoogleのAI生成コンテンツに関する品質ガイドライン改定

Googleが検索品質評価ガイドラインを改定し、AI生成コンテンツの評価基準を明確化しました。AI生成コンテンツは、質の低い大量生産コンテンツや、労力・独創性に欠けるコンテンツと見なされ、低評価となる可能性があります。具体的には、AIによる大量生産コンテンツ、フィラーコンテンツ、誇張表現などが低評価の対象となり、検索順位に悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。評価者は、コンテンツの価値やユーザー体験を重視する必要があるとされています。

seojapan.com

CICの信用情報開示サービスにおけるなりすまし不正アクセスとサービス停止

CICのインターネット信用情報開示サービスにおいて、なりすましによる不正アクセスが発生し、22件の情報開示の可能性が判明したため、サービスが一時停止されました。今後は郵送での開示のみとなり、経済産業省、金融庁、個人情報保護委員会などに報告済みで、警察への相談、被害者への連絡、再発防止策が検討されています。

www.watch.impress.co.jp

GitHub Copilotの機能と設定に関するTips

2025年4月版GitHub Copilotに関する記事では、アップデートによる機能強化と開発効率向上のための設定Tipsを紹介しています。具体的には、VSCodeにおける思考過程表示機能(Agent Mode)、コード補完機能NES、日本語化されたコミット/PR説明機能、セマンティック検索によるコード意味理解検索、安全なAPIキー管理機能(MCP)、GitHub CodespacesでのCopilot Agent利用によるIssueベースの自動作業、そして日本語化されたCopilotによるコードレビューと自動レビュー設定などが解説されています。

zenn.dev

フロントエンドAPIコール時のエラーハンドリング方法

カミナシレポートのフロントエンド開発において、Fetch API、typescript-fetch、TanStack Queryを用いたAPIコール時のエラーハンドリングについて解説しています。それぞれのライブラリにおけるエラー発生条件と内容を比較分析し、ReactとTanStack Queryを使ったエラーハンドリングの方法、ErrorBoundary、onErrorコールバック、throwOnErrorオプションなどの活用法を具体的に説明しています。さらに、カミナシレポートにおけるエラーハンドリングの方針と、Sentryを使った具体的な例も紹介しています。

kaminashi-developer.hatenablog.jp

ユニクロとAkamaiのコラボTシャツとGo言語採用事例

ユニクロがAkamaiとコラボしたTシャツが再び発売され、今回はAkamai社のGo言語を用いたCDN高速化事例がプリントされています。Akamai社はGo言語の並列処理能力を活かし、ユニクロや任天堂スイッチなど大規模サービスのトラフィックを効率的に処理、46億個のID処理など大規模データ処理能力の高さを実証しており、2022年以降のGo言語利用拡大とその効果を示す事例となっています。

www.itmedia.co.jp

Amazon CloudFrontのマルチテナントディストリビューション機能

Amazon CloudFrontに、SaaS向けの新機能であるマルチテナントディストリビューションが追加されました。これにより、複数のドメインを1つのディストリビューションで管理し、ドメインごとに設定をカスタマイズすることが可能になります。従来のシングルウェブサイト型ディストリビューションと選択でき、共通設定とテナントごとの設定を分離することで、効率的な運用と大規模テナント(デフォルト1万テナント)への対応が可能になります。さらに、テナントごとにオリジン設定やWAF設定をカスタマイズできる「パラメータ」機能や、コネクショングループ機能によるエンドポイントの分離も提供され、可用性向上とセキュリティ強化に貢献します。

dev.classmethod.jp

Vibe Codingを用いたWebアプリケーション開発

AIを活用した新しいプログラミング手法「Vibe Coding」を用いてWebアプリケーションを開発する手順を解説した記事です。Claudeやwcgwなどのツールを用いた、AIエージェントとの自然言語による対話を通じた開発方法、具体的な指示や画像による指示の活用による開発効率の向上、そしてVibe Codingのメリット、注意点、今後の可能性について考察しています。

zenn.dev

ReactにおけるuseEffectとfetchのベストプラクティス

ReactにおけるuseEffectとfetchの組み合わせに関するベストプラクティスが解説されています。React 18以前では、useEffect内で直接fetchを行うのは推奨されず、ステートを「ローディング中」として制御し、その状態変化をトリガーにfetchを実行することで、依存配列の誤用を防ぎ、useEffect本来の目的である「コンポーネントの追加作用」に沿った実装を行うべきだと説明されています。React 18以降ではSuspenseの使用が推奨されますが、本記事ではSuspenseを使わない場合の次善策として上記の方法が紹介されています。

qiita.com

MCPを用いたデータベースとの対話と資料作成

Anthropicが開発したMCP(Model Context Protocol)がOpenAIによって採用され、注目を集めています。MCPは、自然言語でデータベースとの対話を行い、データ分析やグラフ作成、さらにはHTML資料の作成までを可能にするプロトコルです。BigQueryとClaude Desktopを用いたデモでは、ユーザーの指示からSQLクエリを自動生成し、結果を基に動的にグラフを作成、そしてそれらをまとめてHTML形式のレポートとして出力する様子が示されました。この技術は、データ分析の民主化と効率化に大きく貢献すると期待されていますが、万能ではないため、適切な利用とセキュリティ対策が重要です。

qiita.com

Duolingo社のAIファースト戦略と業務委託廃止

Duolingo社がAIファースト戦略を発表し、AIで代替可能な業務委託を段階的に廃止すると宣言しました。これは、AIを活用した業務効率化と社員の創造性向上を目指した取り組みで、AI活用能力を重視した採用・評価基準の導入や、社員向けのAI研修・ツールの提供なども計画されています。同社CEOは、AIによる社員の置き換えではなく、より高度な業務に集中できるよう支援することを目的としています。

japan.cnet.com

GitHub CopilotとDevinを用いた開発自動化

GitHub Copilotと生成AI「Devin」を連携させ、GitHubのissue作成からSlackでの実装依頼までを自動化するワークフローを構築した事例を紹介しています。Copilotを用いて詳細なissueを自動生成し、それを元にDevinに実装を依頼することで、Devinの効率的な活用を実現しています。

zenn.dev

三井住友銀行のシステム障害

三井住友銀行でシステム障害が発生し、一部ATMやサービスが利用不可となっています。原因は勘定系システムとみられ、5月4~5日の新システム移行とは無関係です。西宮支店など約30拠点とATM20箇所以上が影響を受け、現金払い戻しのため本店営業部など7拠点に臨時の窓口を設置しています。4月29日午前1時20分頃から障害が発生しており、復旧のめどは立っていません。

xtech.nikkei.com

GitHub Flowを見直したブランチ戦略とステージング環境改善

みてね社は、GitHub Flowを用いた開発におけるステージング環境のデプロイ課題を解決するため、従来の特定ブランチへのデプロイから、環境ごとにデプロイ用ブランチを作成する「デプロイブランチ」戦略へ移行しました。これにより、GitHub Actionsを用いたプルリクエストの自動マージによる複数ブランチの同時デプロイ、最新状態の反映、デプロイパイプラインの簡略化を実現し、環境占有や待ち時間、最新状態の反映漏れといった問題を解消しています。

team-blog.mitene.us

Repro社におけるAI開発支援ツールDevinの活用事例

Repro社がAI開発支援ツール「Devin」を3ヶ月間活用した結果、コード改善や機能追加に効果を実感したという事例を紹介しています。Devinはジュニアプログラマ並みの作業効率で、コード開発、バグ修正、リファクタリング、ドキュメント作成、インフラ整備などに活用可能ですが、出力は完全ではないため人間のレビューと修正が必要で、ドキュメント整備やテスト環境の構築も重要です。料金プラン変更により利用しやすくなったため、体験を推奨しており、Repro社ではAI活用エンジニアも募集しています。

tech.repro.io

PMBOKガイド第8版とプロジェクトマネジメントの変遷

プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめた書籍であるPMBOKガイドの第8版が2025年に公開予定で、第7版で導入された原理・原則ベースのアプローチに対する「揺り戻し」が予想されています。第7版では、従来のプロセスベースから原理・原則ベースに変更され、12個の原理・原則と8つのプロジェクト・パフォーマンス領域が定義されました。これは、アジャイル開発の普及を背景に、ウォーターフォール型開発への偏りを改善するためです。具体的なプロセス実行情報は、別冊の「プロセス群:実務ガイド」で補足されます。

xtech.nikkei.com

生成AIとチケット駆動開発によるAPI開発

Ubie社のPHRチームが、リソース不足と開発スピード向上が課題だったPHR開発において、生成AIとチケット駆動開発を組み合わせた新たな開発体制を構築しました。AI Agentにチケットを割り当てることでコード生成を実現し、4つのAPIをAI Agentのみでリリースすることに成功、開発速度の低下は見られませんでした。チームによる「プロンプトテスト」を通してAI活用スキルを向上させ、開発効率の改善にも繋がっています。この取り組みは、生成AIを活用した効率的なAPI開発の成功事例として注目に値します。

zenn.dev

Python Webツールキットの解説

PythonのWebツールキットとWebフレームワークの違いを解説し、Werkzeug、WebOb、Starletteといった代表的なツールキットを紹介、WSGI/ASGI、リクエスト/レスポンス処理、HTTPヘッダー操作、フォームデータ処理といった低レイヤー機能を提供する役割を説明することで、シンプルなシステム構築やフレームワークのカスタマイズ、そしてWebフレームワークの深い理解と効率的な開発への繋がりに焦点を当てています。

gihyo.jp

glibcにおけるmalloc関数の内部実装

glibcにおけるmallocとfree関数の内部実装、ヒープ領域の操作方法、古典的なfirst fit方式とfree list、現代的なbest fit、bin、mmapを用いた高速化・効率化、そしてマルチスレッド環境下でのarenaによるヒープ分割とロック競合軽減について解説しています。

speakerdeck.com

Azure MCP ServerとGitHub Copilotを用いたAzureアプリ開発

Microsoftが公開したAzure MCP ServerとGitHub Copilotを用いた、Azure上でのWebアプリケーション開発手法が解説されています。MCP (Model Context Protocol) はLLMとツールの連携を規定する規格で、Azure MCP ServerはこれをAzure操作に適用したツールです。Cosmos DBやBlob StorageといったAzureサービスへのアクセスを可能にし、GitHub Copilotと組み合わせることで、プロンプトによるAzureリソース設定やファイルアップロード・ダウンロード機能を持つWebアプリケーションを容易に作成できます。これは、簡単なAzure Webアプリケーション開発の効率化に役立つ手法です。

acro-engineer.hatenablog.com

Google Chrome 136のアップデート情報

Google Chromeがバージョン136にアップデートされ、Windows、Mac、Linuxに対応しました。主な変更点として、正規表現のエスケープ処理を簡素化するRegExp.escape()メソッドの追加、ユーザーのプライバシー保護のための:visitedリンク履歴のパーティショニング、WindowsとLinuxのスクロールバーデザインの刷新(Windows 11のデザインに統一)などが挙げられます。また、セキュリティ上の脆弱性8件(うち4件はCVE番号公開済)も修正されています。

forest.watch.impress.co.jp