Engineer's Digest - 忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/03/25 #139 - 今日の技術情報ダイジェスト

AWSクラウド設計とエンジニア向け必読書

アクセンチュア社員による「AWSクラウド設計完全ガイド」の書評記事で、AWSだけでなく他クラウドにも応用可能な設計ノウハウが網羅されていると紹介されています。特に第3章「実行アーキテクチャの設計」は必読とされており、システムアーキテクトなど、エンジニアにとって非常に有用な内容となっていますが、IAMやネットワークセキュリティなど、本書ではカバーされない部分もある点には注意が必要です。

shinyorke.hatenablog.com

手形・小切手廃止と電子化への移行

2026年度末に、手形と小切手の決済システムが廃止される見込みです。既に2022年には紙の手形・小切手の交換所は廃止されており、事務手続きの煩雑さや下請けいじめへの懸念から、ネットバンキングや電子債権ネットワークへの移行が推奨されています。廃止後も郵送での交換は可能ですが、現金化は困難になるため、関係者は早急なシステム移行を検討する必要があります。

www.yomiuri.co.jp

AI搭載ソースコード編集ソフトCursorの成功要因分析

Qiitaの記事「Cursorが市場を席巻している理由をちょっと考えてみる」では、AI搭載ソースコード編集ソフトCursorが、わずか数年でARR1億ドル、時価総額1兆円を超える急成長企業となった要因を分析しています。Microsoft製VSCodeをベースにChatGPTなどの既存AIモデルを活用し、自社開発を最小限に抑えることで迅速な開発サイクルを実現、競合製品の機能も柔軟に採用し、適切な価格設定と高い想起率を達成した点が成功の鍵として挙げられています。エンジニア向けエディタにとどまらず、ツール連携プロトコル(MCP)にも対応することで、プロダクト開発の中心を目指し、AIによる業務効率化とツール連携によるワークフロー改革を促進している点が解説されています。

qiita.com

アマゾンの週5日フル出社義務化と従業員の反発

アマゾンがコロナ禍を経て在宅勤務から週5日フル出社への転換を強行し、従業員からワークライフバランスの悪化や通勤コスト増加、女性従業員の離職増加懸念などを理由に反発を受け、反対運動や解雇者も発生したというニュースです。専門家は、アマゾンのこの対応は人材確保の難しさへの対策だと分析しています。

www.asahi.com

AIエディタCursorと情報管理ツールObsidian連携による効率的執筆環境

AIエディタ「Cursor」とMarkdown形式の情報管理ツール「Obsidian」を連携させた、AIファーストな文章執筆環境について解説しています。Obsidianによる情報の一元管理と、CursorによるAIを活用した執筆・編集、ファイル探索、情報統合、自動処理、構造整理といった機能を組み合わせることで、音声入力によるアイデア出しからAIによる修正・整理までを効率的に行うワークフローを実現する方法が紹介されています。Markdownによる情報管理が、AI活用における鍵となっている点も強調されています。

honeshabri.hatenablog.com

無料の高品質画像生成AI「illustrious XL v1.0」

韓国ONOMA AI開発の画像生成AI「illustrious XL v1.0」がリリースされ、1536x1536の高解像度画像生成、顔や指などの細部描写の向上による修正の手間削減、1000万枚の学習データとSDXLの2.25倍の解像度増加による高品質なアニメ・イラスト系画像生成が可能になったことを伝えています。

ascii.jp

言語モデルの物理学に関するメタ社の研究

メタ社のAllen-Zhu氏が提唱した「言語モデルの物理学」は、従来のウェブデータではなく厳密に制御されたデータセットを用いて言語モデルを訓練し、モデルの内部状態を分析することで動作メカニズムを詳細に解明しようとする新たな研究アプローチです。既に算数問題解決や知識の記憶・抽出に関する複数の論文を発表しており、言語モデルの能力向上と動作原理の理解に貢献する研究として注目されています。

joisino.hatenablog.com

自律型AIエージェントDevinの2ヶ月間トライアル運用結果

ファインディ社がAIエンジニア「Devin」を2ヶ月間トライアル運用した結果、プルリクエスト197件(1日平均5.2件)という高い生産性を達成し、コストは約30万円だったと報告しています。Devinはジュニア〜ミドルレベルの比較的簡単なタスクを得意とし、軽微なタスクへの有効性が確認されました。今後は他のAIツールと併用することで、開発生産性向上を目指していくとのことです。

tech.findy.co.jp

生成AI検索エンジンの検索精度に関するコロンビア大学研究

米コロンビア大学の研究で、ChatGPTやPerplexityなど8つの生成AI検索ツールの検索精度が低いことが判明し、1600件のクエリ中60%以上が不正確な回答だったと報告されています。特にGrok 3は94%もの誤答率を示し、有料版でも精度は向上せず、むしろ自信を持って誤答する傾向が見られました。さらに、アクセス許可のないサイトの情報に正しく回答したり、引用元を誤って転載記事を引用したり、偽のURLを示したりするケースも多数確認されており、生成AI検索ツールの現状の信頼性に関する課題が浮き彫りになっています。

www.techno-edge.net

HTTPS通信におけるSSL/TLSの仕組み解説(理論編)

フューチャー技術ブログの記事「【理論編】HTTPS通信の中身を見て、どのようにしてセキュアな通信が確立されるかを理解する」では、HTTPS通信の安全性基盤であるSSL/TLSの仕組みを、TLS1.2ハンドシェイクの各フェーズで使用されるアルゴリズムとシーケンス図を用いて解説しています。鍵交換方式、特にDHEとECDHEの違いを詳細に比較し、なりすまし、否認、改ざん、盗聴といったセキュリティ脅威への対策をSSL/TLSがどのように実現しているかを説明しており、続編の実践編ではWiresharkを使った通信内容の検証を予定しています。

future-architect.github.io

メールセキュリティにおけるSPF、DKIM、DMARCの解説

SPF、DKIM、DMARCといったメールセキュリティの基礎技術を解説し、それらが送信元IPアドレス検証、メール内容改ざん防止、なりすましメール対策にどのように役立つのかを説明しています。Gmailが2024年からメールセキュリティ対策を必須化することを踏まえ、特にアプリ開発者は非エンジニアにも分かりやすく説明できるよう、これらの知識を習得する必要性を訴えています。

speakerdeck.com

新卒エンジニアによる「脳に収まるコードの書き方」からの学びと実践

ラクス社のエンジニアブログの記事では、新卒エンジニアが「脳に収まるコードの書き方」を輪読し、プログラミングにおける状況判断と適切な手法選択の重要性を理解し、関心事を1つの機能に絞り、情報を7つまでに制限することで読みやすいコードを書く方法を実践した経験が紹介されています。その結果、ソフトウェアエンジニアリングの重要性と学習方法について学ぶきっかけを得たとしています。

tech-blog.rakus.co.jp

さくらインターネットへのエンジニア転職増加と国産クラウド事業の展望

さくらインターネットが、優秀なエンジニアの大量入社によって国産クラウド事業を強化し、巨大な外資系クラウド企業に対抗しようとしています。特にSNSでも話題になっているこの動きは、高性能GPUや政府機関向けのクラウドサービスなどへの挑戦を背景に、日本経済新聞の記事で詳しく解説されています。

www.nikkei.com

シャープのPC事業の歴史をニュースリリースで振り返る

シャープのPC事業の歴史を、同社のニュースリリースをもとにMZ-40KからX68000までを網羅的に解説した特集記事です。4ビットワンボードマイコンMZ-40Kをはじめとする初期製品の資料や、MZ-80C、X1、X68000といった代表的な機種のニュースリリースが公開されており、中には手書きの貴重な資料も含まれています。東芝ブランドPC(Dynabook)のニュースリリースについては、次回掲載予定です。

pc.watch.impress.co.jp

Googleマップのタイムラインデータ誤削除問題

Googleマップのタイムライン機能(移動履歴)において、Google側の技術的な問題によりユーザーのデータが誤って削除されたことが明らかになりました。影響を受けたユーザーの中には、10年以上分の履歴が消失したケースもあり、Googleはバックアップデータが存在するユーザーに対しては復元作業を行うとしていますが、バックアップがないユーザーについてはデータの復旧は不可能です。この問題は、位置情報データのデバイス保存がプライバシー向上に繋がる一方、データ消失のリスクも伴うことを改めて示しています。

gigazine.net

楽天証券における不正アクセスと中国株への不正売却被害

楽天証券において、顧客の口座が不正アクセスを受け、保有資産が中国株に不正売却される被害が多数発生しています。犯人は顧客のIDとパスワードを不正利用しており、楽天証券は損失補填を行わず、二要素認証の設定強化を推奨しています。被害者は警察への相談もしていますが、事件化や損害賠償は難しい可能性があります。二要素認証を設定することで、このような被害を未然に防ぐことができます。

togetter.com

サイバーエージェントにおけるAI活用事例とおすすめのAIツール

サイバーエージェントにおけるAI活用事例を紹介し、ChatGPT、Cursor、Windsurf、Dify、Felo、Glarity、NotebookLMといった6つのAIツールの機能や特徴、特にCursorのProjectRulesによるルール設定機能について解説しています。これらのツールは文章生成、コード生成、情報検索など幅広い業務効率化に役立つとされ、月1000時間の業務効率化を実現した事例も示されています。 各ツールを用いた具体的な活用方法や、企業におけるAIツール開発の現状と今後の展望についても言及しています。

www.itmedia.co.jp

コードが書けるAIによるSIer業界への影響と大胆予測

日本のIT企業における設計とコーディングの分業化による非効率性を指摘し、コード生成AIによってコーダーの代替が可能になるものの、AI指示を行う上流工程担当者のコーディング経験不足から新たな非効率が生じ、結果的にコーディングスキルを持つエンジニアが優位となるという見解を示した記事です。

www.mag2.com

最近のCSSの機能と進化

最近のCSSの進化について解説しており、JavaScriptに頼らず複雑なレイアウトやアニメーションを実現できるようになった点、CSS GridとFlexboxによる効率的なレイアウト設計、@layer@scopeなどの大規模プロジェクト対応機能、CSS変数や計算関数によるプログラミング的な表現力の向上、レスポンシブデザインにおけるコンテナクエリや新しいビューポート単位の活用などを紹介しています。

zenn.dev

AI初心者向けDeepSeek論文解説

AI超初心者がDeepSeek-R1論文を読み解いた体験談と、AlphaGoやChatGPTなどのAI進化におけるDeepSeek-R1の位置づけ、教師データなしで強化学習のみを用いてAIの推論能力を高めたDeepSeek-R1-Zeroの概要、シンプルな報酬モデルと改良型強化学習アルゴリズム(GRPO)がDeepSeek-R1-Zeroの成功に果たした役割、そしてAIが自ら思考し間違いを修正する能力獲得への歩みについて解説しています。

zenn.dev

CloudflareのAIクローラー対策システム「AI Labyrinth」

Cloudflareが、悪意のあるAIクローラー対策として、AI生成の無限迷路「AI Labyrinth」を発表しました。これは、ウェブサイトへのスクレイピングを禁止する指示を無視してアクセスするAIクローラーを、無意味なAI生成ページで構成された無限ループの迷路に誘導し、クローラーのリソースを消費させるシステムです。本物のウェブサイトと酷似した偽のページで構成されており、クローラーは延々と迷路をさまようことになります。一般ユーザーへの影響はなく、Cloudflareは、このシステムによってクローラーの特定や対策に役立つデータ収集も可能になると説明しています。無料プランを含む全てのユーザーが利用できる予定です。

gigazine.net

レガシーシステムフルリプレイスにおける安全なリリース方法

15年以上運用されるレガシーシステムの2つのコア機能を、独自検証手法「ペンギンテスト」を用いてほぼゼロバグでフルリプレイスした事例を紹介。ペンギンテストは本番環境で実データを用いながら、ユーザーへの影響なく検証できる手法であり、カナリアリリースやダークローンチと組み合わせることで、段階的なリリースを実現し、リリース後の障害ゼロとパフォーマンスの大幅改善(300秒→0.8秒)を達成しています。

speakerdeck.com

AIを活用したソフトウェア脆弱性診断サービス「Takumi」

GMOインターネットグループの子会社であるGMOフラットセキュリティが、AIエージェントを用いたソフトウェア脆弱性診断サービス「Takumi」を開発し、4月からアプリ開発企業などに向けて提供開始予定です。このサービスは、AIが自律的にソースコードの脆弱性を検出するため、詳細な指示が不要で効率的なセキュリティ診断が可能です。日本経済新聞の会員限定記事として掲載されています。

www.nikkei.com

Playwrightを用いたブラウザ自動化サーバーPlaywright MCP

Microsoftが開発したPlaywright MCPは、Playwrightを用いて大規模言語モデル(LLM)が視覚モデルなしでWebページと対話できるようにするブラウザ自動化サーバーで、アクセシビリティツリーを利用することで高速かつ軽量な動作を実現し、Web操作、データ抽出、自動テストなど幅広い用途に利用可能です。スナップショットモードとスクリーンショットを用いたビジョンモードの2つのモードが提供されています。

github.com

Terraform monorepoの構成と管理方法

LayerX社のバクラク事業部が、Terraformを用いたインフラ構成をmonorepo(layerone-infra)で管理し、各プロダクトのTerraformを統合することでメンテナンスコスト削減を実現した事例を紹介しています。サービス定義にはJsonnetを使用し、自動生成による効率化を図り、GitHub ActionsとCodeBuildでCI/CDパイプラインを構築しています。ただし、依存モジュールの変更時のplan/applyやplan fileの活用が課題として挙げられています。

tech.layerx.co.jp

AIのカスタマイズ機能と心理的バイアスに関する考察

AIのカスタマイズ機能、特にCursorやClineといったツールにおける独自設定のメリットとデメリット、そしてその背景にある心理的バイアスについて分析しています。PKMフレームワークを用いてAI設定を分類し、カスタム設定の効果を客観的に評価するためのチェックリストと方法、さらにイリュージョン・オブ・コントロールや確証バイアスといった心理的バイアスへの注意喚起、モデルの素の性能重視の利点と効果的なカスタム設定の例を示しています。

zenn.dev

Google Chromeのフォント処理ライブラリをRust言語で開発した「Skrifa」への移行

Google Chromeのフォントレンダリングエンジンが、メモリ安全性を高めるためC/C++製のFreeTypeからRust製のSkrifaに置き換えられます。FreeTypeはメモリ安全性の問題を抱えていたため、脆弱性リスク軽減を狙ったこの変更は、Chrome128から一部機能で、Chrome133からはWebフォント全般で有効になります。将来的にはOS標準フォントへの適用も計画されています。

forest.watch.impress.co.jp

Cursor Proプランの料金とコスト削減方法

Cursor Proプランは高性能なAIコードエディタですが、月500回まで無料の高速リクエストを使いすぎると追加料金が発生するため、コストを抑えるための利用方法が解説されています。GPT-4、Claude 3.5/3.7 Sonnet、Grok-2など複数のAIモデルが利用可能で、モデルやリクエストの種類によって消費されるリクエスト数が異なるため、低速リクエストの活用や適切なモデルの選択、設定変更などを駆使することで、費用対効果の高い利用を目指せます。

qiita.com

AI開発におけるブラックボックステストと事前リファクタリング

AI開発における盲点とその対策として、ブラックボックステストによる事前リファクタリングで状態を持たないツールを用いること、要件定義の徹底と自動コード整形・小規模ファイル化・ドキュメント参照の徹底、ウォーキングスケルトンや静的型付け、MCPサーバーなどの活用、計画性と仕様遵守、科学的デバッグ、限界認識、そして文化と戦略のバランス、3の法則(Rule of Three)の意識が重要であると説明しています。

ezyang.github.io

ISUCONで培った技術による決済処理時間の改善事例

スマートバンクにおける決済処理のレイテンシ(処理時間)改善事例を紹介しています。サービスレベル目標(SLI)である1.5秒を下回る問題が発生し、New Relicを用いてスロークエリを特定した結果、集計クエリがボトルネックであることが判明しました。ISUCONで培った知識を活用し、サマリーテーブルを作成することで重いクエリを置き換え、パフォーマンスを向上させた取り組みが詳細に解説されています。

blog.smartbank.co.jp